H30大分県公立高校入試[国語第2問]
特別養護老人ホームのある老人(重朗)との交流や短歌を通して、主人公「私」の心の成長を描いた物語。
読みやすく、話も理解しやすい。
昨年とは、出題形式が変わっている。
昨年は、選択3問、記述1問、抜き出し1問だった。
今年は、選択1問、記述2問、抜き出し2問である。問一 傍線部①「嘘を持ち込んだ」理由を記述する問題。黄色いものを、青だと「私」が重朗に嘘をついた。
≪国2≫の上段最後の6行のやり取りに注目。「嘘です。青です。」(私)
「…………。」(重朗)
「ごめんなさい、どうしても確かめておきたくて。重朗さん、もしかして、色が。」(私)
「騙したな。」(重朗)
「だって、教えてくれなかったじゃないですか。」(私)
「私」の『だって』という発言から、嘘をついた理由が何かを確認したかったことだと分かる。
その内容は、『重朗さん、もしかして色が』という言葉から、色の認識が可能かどうかということである。
模範解答は次の通り。
〇重朗さんが色を認識できるのかを確かめておきたかったから。
問二 傍線部②「……ああ、青が帰ってきた。」と重朗が感じた理由を選択する問題。正解はウ。
≪国3≫の上段10~11行目に注目。
私はうたっていた。
海に向かって。そして重朗さんと、その奥さんに向かって。
ウにある「眼前の風景の中に重朗さん夫妻が立つ姿を思い描いて詠んだ」と合致する。
また、傍線部の言葉は、「私」の短歌で思い出が一気によみがえったことを表している。
〔不適合理由〕
アは「重朗さん夫妻の最良の一日を忠実に再現した短歌」が誤り。忠実に再現しているものではない。
イは「悩みつつも希望を抱いて生きた若い頃の自分を思い出した」が誤り。そういった記述はない。
エは「これまで見たことのない青い海」が誤り。重朗は日向の海を見たことがある。
問三 (1)
Ⅰに入る一文を抜き出す問題。
Bさんの「『Ⅰ』という自問に・・・」とあることから、自分に問いかけている文を探す。
場面Xの中で、自問している文は≪国2≫下段19行目の1文のみ。
正解は次の通り。
〇色のないそ
また、「重朗さん』の想いに応え、日向の海で詠んだ短歌で答えが出たということにも合致する。
(2)
Ⅱに当てはまる言葉の記述問題。
「私」の強い思いを探す。つまり、「私」が牧水短歌甲子園に出す短歌を変更したい理由を探す。
≪国3≫の上段21~22行目に注目。
今詠んだ歌を大会で詠みたい。ここで生まれた歌を、この土地で。今の歌こそが自分にとっての、青の
歌だ。
「この土地で」が表しているものは、牧水短歌甲子園である。
注釈での牧水短歌甲子園の説明に「宮崎県日向市で行われる短歌の大会」とある。
つまり、日向の海を見て日向で詠んだ歌を、日向である牧水甲子園で詠みたい、とうことだ。
模範解答は次の通り。
〇この土地で生まれた歌をこの土地で詠みたい
(3)
Ⅲにあてはまる一文を抜き出す問題。
「私」が現実に向き合って一歩を力強く踏み出そうとしていることを表す一文を探す。
Aさんの「『小俵先生』に背中を押された『私』は」とあることから、答えの文は≪国3≫下段の15行目
以降にあることが分かる。
小俵先生の「つまり、そういうこと。」という言葉が、「私」の背中を押した最後の一言だからだ。
この最後の6行のなかで「私」の様子を表しているのは、最後の一文だけである。
正解は次の通り。
〇私は紛れも
また、「地球の上に立っていた」は「私」の迷いがなくなり何をすべきが明確になったことを表している。
一つ一つの問題はそこまで難しくないが、全体を読まなければならず、文章量が多い。つまり、読解力とスピードの両方が必要。
ただ、大学入試改革を見据えれば当然の流れと言える。
次は大問3の論説文。では、解説を見てみよう。
ライズ1 亀崎